小説 本多孝好

小説 本多孝好の情報ページです。
「FINE DAYS」本多孝好 2003/03 文庫2006/07




FINE DAYS…「祟る」という噂の不思議な美人転校生、格闘技もする不良女子高生、単語でしか話をしない友人。友人の間で起こる事件と日常。

イエスタデイズ…余命いくばくもない父親と、その父親に反発してかつて家を出た息子。父親から息子への頼みはかつて別れた女を探し出すことだった。

眠りのための暖かな場所…世間とうまく折り合いをつけられない大学院生の女性と世間に溶け込もうとしない大学生の男の子の物語。

シェード…アンティークショップの老女の語るおとぎ話。著者の作品の中では珍しくホッとする暖かい作品です。




この本に収められた物語はすべて超常現象を含んでいます。

もちろんそれが主な話ではないのでSFが苦手な方でも問題なく読めると思います。

特にシェードとイエスタデイズがおすすめです。どちらも映画のような作品です。

               評価    ★★★☆☆


ハードカバーです。



「MISSING」本多孝好 1999/06 文庫2001



これはとても不思議な小説です。

ミステリーというにはあまりに叙情的だし、ホラーの要素もあります。
青春といえば青春ですがそこには恋愛も含んでいます。



内容は読んでいる間はどんどん先が読みたくなりますし、飽きさせません。

短編にありがちな、表題作だけが面白いって事もないと思います。

ただ、読後に大きな印象が残らなかったかもしれません。

それでも言葉の選び方や話の構成、アイデアはさすがは「本多孝好」という感じでした。
彼の書く物語は単なる美しい話にとどまりません。

これらのことからこの作品を一言で言えば軽い読み物ということが出来ます。
電車の中や暇つぶしに読むにはぴったりです。ちょっと贅沢かもしれませんが。

でも、僕はこの本が好きです。

「本多孝好」を知らない人も好きな人も楽しめるのではないかと思います。






章とあらすじをあげておきます。

眠りの海…高校教師と女子生徒の恋。最後まで読めないストーリーに引き込まれます。

祈灯…ミステリー要素の強い作品。妹の友人は、自分を「葉山典子」だと思いこんでいる女の子。なぜ彼女がそんなことになったのか?僕はミステリーよりも登場人物や彼らのやり取りに惹かれました。

蝉の証…「僕」が老人ホームの祖母から頼まれたことは1人の老人の素行調査。調査を終えた僕と祖母のやりとりに切なくなります。

瑠璃…「ルコ」という女の子との思い出。夏を感じる青春と愛の物語です。

彼の棲む場所…誰しもが持つ人間の心の醜さを描いています。だからこそ共感できると思います。



                             評価    ★★★★☆

「MOMENT」本多孝好 2002/8 文庫2005/9




「死ぬ前に一つだけ願いがかなう。」

そんな噂が流れる病院で主人公の「僕」は清掃夫のバイトをしています。

そんな「僕」が一度だけ末期患者の老女の願いをかなえたことから、死に直面した人々の願いを聞くようになってしまいます。


FACE…太平洋戦争を戦った老人の願いは当時自分が殺した上官の家族を見守ることだった。
WISH…死と隣り合わせの少女の淡い恋と悲痛な心の叫び。
FIREFLY…都会で生きることの孤独とせつなさ。
MOMENT…家族を残して死ななければいけない男、残された家族のために出来ることは?



この小説は上記の4話からなる短編集です。

将来や生き方が分からない今どきの主人公が死に直面した人々との出会い、別れを通して人間や命、人生を学んでいきます。

特に僕の心に残ったのは「FIREFLY」で、都会の「孤独」に最後はせつなさでホロリときました。


この作品の中で本多孝好さんは、いくらでも美しい話が書けるはずなのに、それを悲しいほどドライに描いています。

しかし、僕にはこの現実的である意味で辛い物語は彼にしか書けないような気がします。

                           評価    ★★★☆☆