ノンフィクション 藤原正彦

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「心は孤独な数学者」 藤原正彦1997/10文庫2000/12

皆さん、ニュートンはご存知ですか?
そう!万有引力の法則を発見した彼です。

では、ニュートンは万有引力を発見しましたが、なぜ、彼の上にりんごが落ちてきたか?

ご存知の方は少ないのではないでしょうか?

例えば、キュリー夫人、ヘレン=ケラー、ライト兄弟は伝記も出ていますが、ニュートンの伝記を読んだ人は?



この本の中で著者はニュートンの足跡を実際、イギリスを訪れ、彼の一生を追いかけます。
数学者である著者の暖かい目線で語られる人生には目頭が熱くなることも多々あります。


その他にアイルランドの数学者ハミルトンとインドの神がかり的に定理を発見し続けた早世の天才ラマヌジャンについても同様に、内面を浮かび上がらせながら人生を語ります。


音楽家や、発明家、政治家の伝記はよく目にしますが、数学者の伝記はなかなかないのではないでしょうか?

超一流の人間の一生というのは読んでいて心が焚きつけられるので僕は大好きです。
「国家の品格」藤原正彦  2005/11 


先に言います。読んだことのない人はこの本を絶対読んで欲しいです。
僕のように同意するもよし、逆に批判するもよし。
議論する価値もあると思います。

ところでこの本は250万部売れたベストセラーなんだそうで、ご存知の方も多いのではないかと思います。
流行りモノには手を出さない天邪鬼の僕ですので今さらですが読んでみました。

しかし、現在、医療費、福祉、食品の安全といった問題が山積することを考えると、2005年の時点で本著を書いた著者の慧眼には驚かされます。

本著の中で著者は現在の日本はかつて持っていた情緒を失い、アメリカ式の論理を崇拝する風潮になっているといいます。そして、欧米式の制度や思想を尊ぶ風潮に警鐘を鳴らします。

彼はいかに論理というものが不完全なものかということを論じた後、さらに、欧米の作った「自由」「平等」といった、僕達日本人にもなじみの深い言葉もまた覆します。


その上で日本人の美徳を「情緒」「道徳」とし、日本人がすべきことを考えます。

まず第一に、日本人が世界的に見ても類稀な情緒の深い民族であることを背景に、論理の出発点である情緒(人間としての感情)を持つこと。

次に欧米の作った思想に疑いを持ち、道徳の規範を「武士道」に見つけ、清廉潔白、弱いものいじめをしない、卑怯を憎む、敗者への思いやりを持つなどという所に立ち戻るべきである。


これらをもとに教育、文化、経済、政治といったあらゆる面から著者は日本のとるべき道を主張します。



著者は大学の数学教授という堅い肩書きからは想像できないユニークな作家で、文章は読みやすく、分かりやすいです。
僕のようにちょっと右寄りな人間にはすごく気持ちの良い話です。


ただ論理としては、反論も簡単に出来そうです。
基本的な論調が、日本の古来からの伝統を持ち上げ、アメリカを中心とする西欧世界をこき下ろしているためです。


しかし日本という祖国を愛し、日本国民の可能性を信じる本書には思わず、論理を超えて感動し、胸が熱くなりました。


高度経済成長が終わったあたりから金満日本と言われ、バブルの崩壊後は長い不況にあえぎ、ようやくその不況を抜けたと言われていますが、生活が良くなるわけでもありません。

世界からはアメリカに追随する国として見られるばかりで、日本という国は今や自分を見失っているようにすら感じる中、少なくとも僕はこの本を読んでもう一度「国家の品格」を取り戻したいと思いました。

そして、「国家の品格」を取り戻した時には世界から賞賛される国になれると思います。


最初にも言いましたが、この本に書かれている内容の全てをそのまま受け入れることが出来るかは議論すべきだと思いますが、少なくとも議論されるに値する内容だと思います。
             評価    ★★★★★
「数学者の言葉では」藤原正彦  1981/05 文庫1984/01



数学者藤原正彦先生による面白エッセーです。

カテゴリを数学に入れるか迷いましたが、数学について専門的なことは書かれておらず、エッセー色が強いのでこちらにしました。

藤原先生はアメリカのコロラド大学などでも教鞭をとった人で、「若き数学者のアメリカ (新潮文庫)」に続きこの本でもアメリカ人と日本人の比較やアメリカの学生についての多く挙げられています。

特に大学生や大学院生については、昔から「日本の大学生は勉強しないがアメリカの大学生はすごく勉強する」など言われていますが、実際にアメリカで教えた先生の言葉には真実があると思います。

また、子供のしつけについて、結婚式、新婚旅行、結婚生活、などの日常が先生の一種独特な感性で正直に(多分)語られ、笑えます。

世間一般ではほぼ謎に包まれている数学者がいったい普段何をして、何を考えているのかが分かる興味深い本です。
                      評価    ★★★☆☆