小説 藤田宜永

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「壁画修復師」藤田宜永 1999/7 文庫2001/9



この本は心温まる5話の短編集です。

フランスを舞台にしたアベという日本人の壁画修復師を中心とした物語です。


あまり僕らには馴染みのない職業ですし、短編なんで軽いんだろうと思って読んでみると、アベの過去まで深く突っ込み、また、アベに心を開く人たちの心をじっくりと描写してくれるので、外国人の話だっていう事も忘れて感情移入してしまいます。


アベはフランスの田舎町を転々としながら、教会の壁画を修復する寡黙な男、それでいて、人情味のある彼に町の人たちは自分だけの心にしまっていた感情をアベに吐露します。





五十年目のカルバトス…いがみ合う二人の老人。二人はかつて第2次世界大戦でともに闘った親友でした。二人の過去の行き違いをアベが修復します。

水に流して…田舎で宿を切り盛りするブリジットと手伝いのオリヴィエ、静かに暮らす二人の 生活に、かつて家を飛び出したブリジットの娘ロザリーが帰ってきて…。

生と死のコラール…アベがとある田舎町に呼ばれます。夜中一人教会で仕事をしているとこ ろにオルガニストの青年が入ってきます。休暇で来たという彼は町長の娘 と仲良くなりますが…。

白い河…かつてアベとともに学んだショメルの堕落した姿。アベの過去が明らかになり始めます。

タニアの城…アベの過去をあざ笑うかのように彼の過去とそっくりな状況が目の前に現れます。さらに、日本から20年ぶりに帰国したタニアの息子アレクシス。彼の帰ってきた理由とは…?





藤田宜永さんの本は不倫ばっかりってイメージがあって、ほとんど読んだことがありませんが、久しぶりに感動して泣けた素晴らしい作品だと思います。

                         評価    ★★★★★