200801

200801の情報ページです。
「花の下にて春死なむ」北森鴻 1998/11文庫2001/12



この小説は伯父さんから借りたのですがすごく良かったです。

すでに骨董屋のシリーズは読んでいて、北森さんのイメージが出来かけていたのですが、この小説で見方が変わりました。

骨董屋のシリーズでは主に歴史や古美術とそれにまつわる謎、どちらかと言うとサスペンス的な要素が目立っていましたが、この小説は「香菜里屋」というビアバーを舞台にマスターが客の持ってくる不思議な話に解決をつけるというもので、一種のアームチェアディテクティブ(安楽椅子探偵)物と言えます。

北森さん特有の社会や人間に目を向けた要素を軸に様々な謎が盛り込まれているので良質の短編集だと思います。


第52回日本推理作家協会賞を受賞されたとの事でこれも僕は大して興味を持っていなかったのですが、この賞の第1回受賞作は横溝正史氏の「本陣殺人事件」ということで、なかなか由緒ある賞です。


花の下にて春死なむ…たった一人で孤独に死んでいった無名の俳人「片岡草魚」。彼の足跡を追ううちにフリーライター飯島七緒は1人の孤独な男の半生に触れる。
家族写真…とある駅の改札に本棚がある。そこには市民からの寄付によって様々な本が並べられ、乗客は自由に借りていくことが出来る。その本の中に家族写真が入っていた、それも何冊も。いったいこれはどんなメッセージなのか?
終の棲み家…写真家妻木信彦が賞を取った写真「終の棲家」にはとある事情があった。彼の作品のポスターが盗まれるという事態が起こり、彼は罪の意識に苛まれる。
殺人者の赤い手…赤い手の魔人に子供が殺されるという都市伝説。その裏に隠された謎と現在の事件がリンクする。
七皿は多すぎる…回転寿司屋で同じ時間に鮪だけを食べる老人。彼の目的は何なのか?
魚の交わり…孤独な俳人「片岡草魚」。姉にも伝えられなかった彼の鎌倉での生活は一体なんだったのか?

どうでもいい事ですが、昔「9マイルは遠すぎる」っていう海外の推理小説を読みましたが、「七皿は多すぎる」といいこの手のタイトルには元ネタがあるのでしょうか?              
                    評価    ★★★★☆



この小説の中でアルコール度数の違うビールっていうのが出てくるのですが、飲みたくなって探してみました。


これがアルコール度数9.3のビールです。その名も「ギロチン」!!
「香菜里屋」で出ているビールが何か分かりませんが面白そうなので1度飲んでみようと思います。
「波のうえの魔術師」石田衣良 2001/08文庫2003/09



大学卒業後仕事にも就かず、パチンコで生計を立てる青年。
彼の前に謎の老人が現れ、アルバイトを持ちかけられる。
老人は株取引の達人で、青年は株というマネーゲームの世界に否応なしに惹きこまれていく。

そして老人が最後の標的と目を付けたのは大手都市銀行だった。


ライブドアやら日本テレビの事件で有名になった株によるマネーゲームの世界ですが、石田衣良さんに書かせると魅力的な世界に変わります。

僕は株に興味がないので、知識はありませんでしたが特にストレス無く読めました。
青年がどんどん成長していくさまは読んでいてもワクワクします。

娼年」にも書きましたが、RPGのゲームでレベルが上がっていくような感じです。


ただ、惜しむべくは「娼年」と大きな筋が変わらないところです。目の付け所などはすごく興味を惹かれますし、石田さんの文章が面白いだけに、もったいないという感じがしました。

こちらを読むなら「娼年」を読んだほうが良いような気がします。
                   評価    ★★★☆☆


単行本はこちらです。

きっとこのブログを読む人は本好きの人で、活字慣れしていると思います。
そこで、結構推敲してレビューを書くのですが、僕は何度も手直ししたくなります。

するとFC2は書き直しても新着記事として扱われるようなので、なんだか忙しないですがお許しください。
「禁じられた楽園」恩田陸 2004/4/21 文庫2007/03




平口捷は、W大学の建築学科に籍を置く普通の大学生。
同じ学科に若き天才美術家の烏山響一がいる。彼はすでに世界に認められた有名人である。
特に面識の無いはずの捷であるが、響一に和歌山県の山奥に作られたプライベートの巨大な野外美術館に招待される。
美しい自然と気味の悪い芸術作品、そんな野外美術館で心の中の恐怖が掘り返される。


恩田陸さんは懐の深い作家ですね。

この小説はホラー小説ですが、夜のピクニックを読んで、イメージを作っていると驚かれるかもしれません。

はっきり言って気持ち悪いです。生理的に「イィィィー!」ってなります。

おすすめはしませんが、恩田さんのファンならいいかもしれません。
          評価    ★★☆☆☆


単行本はこちらです。


「ナビゲーター世界史B―新課程用」



世界史を一人で勉強するために、皆さんどんな参考書を利用されているのでしょうか?


僕がおすすめするのはナビゲーター世界史です。

僕が世界史の参考書に求めるのは、一人で勉強する(先生がいない)という状況でいかに理解しやすいか、ということです。
そして暗記しやすいかどうかです。知識だけが書いてある参考書なら教科書で十分です。



もう少し詳しく考えてみましょう。

まず理解しやすいとはどういうことでしょうか?
例えば年表や言葉だけを書いてある参考書では意味が分かりません。意味を調べるのだけでも時間と労力が必要となります。その参考書だけで理解でき、なおかつ知識を得られる必要があると思います。

次に暗記しやすいかどうかです。
暗記は一問一答や単語帳で覚えるのはもちろん必要です。
でも人間、意味の分からないことを覚えるのは難しいですよね。

では意味さえ分かれば覚えられますか?
覚えられないと言うことはありませんが、覚えにくいと言う人もいるでしょう。

ところで暗記というのは好きなことほど覚えやすいということに気がついていますか?皆さんも、子供の頃、ポケモンの名前などのように好きなことはすぐに覚えられた経験があると思います。

つまり、暗記とは意味が分かっていてなおかつ興味がないとなかなか出来ないのです



このナビゲーター世界史は、世界史の流れを説明してくれるので、言葉と意味を覚えられるのはもちろんのこと、雑学的な内容が面白く、エッセーを読むように集中して読んでしまいます。


面白い雑学と世界史の単語が関連付けられて覚えられるので一人で勉強するのにはもってこいの参考書です。


ナビゲーター世界史B―新課程用 (2)
ナビゲーター世界史B―新課程用 (3)
ナビゲーター世界史B―新課程用 (4)

こちらは受験生でなくても「教科書が分かりにくい」と悩んでいる方におすすめです。教科書を分かりやすく講義形式で教えてくれます。


ナビゲーター世界史B―これならわかる! (2)
ナビゲーター世界史B―これならわかる! (3)
ナビゲーター世界史B―これならわかる! (4)
「狐闇」北森鴻 2002/06文庫2005/05




自分の店を持たず、鑑定眼だけを頼りに骨董業界を渡り歩く「旗師」と呼ばれる職業の宇佐美陶子。
彼女は競り市で謎の青銅鏡を手に入れた事から、壮絶な陰謀に巻き込まれる。

狡猾な罠を仕掛けられ、飲酒による交通事故を偽装され、絵画贋作の汚名を着せられる。
運転免許証どころか骨董業者の鑑札まで奪われた陶子だが、彼女の気性が逃げることを許さない。彼女は仲間とともに深い闇に沈む真相の究明に乗り出す。


この小説は冒頭から宇佐美陶子の落ちぶれた姿に驚かされます。
そして、過去に戻り、落ちぶれていく過程の理不尽さに腹が立ちますが、陶子のタフな性格がそれを和らげてくれます。



しかし今回は骨董ミステリっていう感じではありません。

歴史サスペンスといった雰囲気です。なんとなくダビンチコードを連想します。
まぁ骨董品は歴史があるので、歴史が絡むのは仕方ないとはいえ、もうちょっと骨董品出してくれてもいいんじゃないですか?北森先生…。
そこがちょっと不満ですが、それでも最後までぐいぐい読ませてくれる先生の力はさすがだと思います。



あと、最後まで読んで気がついたのですが、登場人物の一人がどうやら著者の別シリーズの主人公なんですね。僕はこのシリーズしか読んでいませんので気がつかなかったのですが、ファンの方なら2度美味しい作品なのではないでしょうか?
                 評価    ★★★☆☆




「ワセダ三畳青春記」高野秀行 文庫2003/10



辺境冒険家の高野秀行さんは早稲田大学の冒険部出身なのでワセダに住んでおられたわけですが、3畳間の家賃12,000円のアパート「野々村荘」に11年間も住まれていました。

アパートに住んでいる人は本人も含めて奇人変人だらけです。
司法浪人の40代男や金にも時間にもケチな守銭奴、探検部の後輩などの奇行がすごいです。

11年間も住んでいると様々な事件が起こり、笑いあり涙ありでまったく飽きません。

ドラッグを試すためにダチュラの実を食べてみたり、プールに凝りすぎて大会に出てみたり、放浪から帰ってきたら知らない人が自分の家に住んでいたりします。

また、20代の後半になり得体の知れない不安などを感じる姿にはなんとなく共感ももてますし、最後の野々村荘との別れはホロリときます。

正直に書かれている著者の心情には素直に好感をもてます。




リリー・フランキーさんの「美女と野球」と同じような作りですが、こちらの方が下ネタなしでみんな楽しめるのではないでしょうか。

この本は第1回酒飲み書店員大賞を受賞しただけあって、酒のつまみに読みたい一冊です。
本当に面白い本で、教えてくれた従兄弟には感謝です。
                 評価    ★★★★★





「水に眠る」北村薫 1994/10 文庫1997/10



推理作家北村薫による恋愛小説です。
全10篇からなる短編集ですが、どの話もほろ苦く切ない物語です。

北村さんはデビュー後公に姿を見せず仮面作家として活動していました。
彼の文章のやわらかさなどから「女性作家ではないか」などの憶測がファンの間で囁かれるなどされていました。

様々な小説を書かれている北村さんですが、推理作家とは思えない短編集です。
推理作家の北村薫ファンの方にも読んでいただきたい一冊です。


いくつか内容を紹介します。

恋愛小説…仕事にもなれてそれなりに楽しく暮らしている美也子。28歳の彼女は母親からは見合い話を勧められているがそんな気にはならない。しかし、生活に何かが足りない。そんな時に一本の電話が入る。名前も名乗らず何もしゃべらない受話器の向こうから優しいピアノの旋律だけが流れてくる。

水に眠る…つまらない人間関係を我慢しながら暮らしているわたしが会社の同僚西田さんに話しかけられる。彼がわたしを連れて行ったのはとある酒場。そこで出されたウィスキーはチリチリとするような切ない味がした。西田さんが転勤することが分かり、わたしはもう一度酒場を訪ねる。

植物採集…周りからは才気煥発と言われる京子だが、小太りで口なまけもの、趣味はインド仏教の俊一に仄かな想いをもっていた。しかし俊一に彼女ができて…。


心に染み入るような物語で、休日の午後にコーヒーでも飲みながらゆっくり読みたい作品です。
                   評価    ★★★★★


「ループ」鈴木光司 1998/01 文庫2000/09




二見馨は子供の頃、重力異常のある地点を発見し、父とともに旅行した。
しかしそんな父を癌で失い、彼は母親とともに暮らしながら医学部に入学。
そして父のいた病院でシングルマザーで頑張っている礼子と出会い愛を育む。
しかし、転移性ヒトガンウィルスはさらなる変化を遂げ、いまや礼子を含め世界中のあらゆる生き物を殺そうとしていた。

彼はかつて父とともに行った村でヒトガンウィルスを克服した症例を聞きアメリカに向かう。
全人類の命を懸けた戦いが始まる。


リング (角川ホラー文庫)」「らせん (角川ホラー文庫)」に続く3作目。

リングは映画化もされましたしハリウッドでリメイクされるなど有名なのでご存知ない方の方が珍しいと思います。あのラストシーンは鳥肌でした。

しかし、らせんになって趣が変わり始めます。ホラー小説じゃなかったの?という感じが僕にはしましたが、むしろ「呪いのビデオ」とかより面白かった覚えがあります。

そして、高校時代に読んだこの「ループ」は最高傑作です。
一気に読み終え、しばらく余韻に浸りました。
内容が頭の中をぐるぐる回り(ループだ!)、現実世界がおぼつかなく感じました。

何度読んでも上手いなあ、と思います。


また、「リング」の高山や貞子、「らせん」の浅川などについても新たに謎が解けてこれまでのファンの人にこそ読んでほしいと思います。

特に「らせん」で止まっちゃった人はぜひ読んでください。


そういえば浦賀和宏の作品にもよく似た世界があります。
ループにハマった人なら面白いのではないでしょうか?
ただし、浦賀さんの物語もはじめから読んだ方が良いと思います。
                  評価     ★★★★★


ハードカバーです。
「姑獲鳥の夏」京極夏彦 1994/9文庫1998/09




太平洋戦争が終わり戦後の復興を遂げつつある時代。
作家関口巽が雑誌の取材で知ったとある事件、すなわち「20ヶ月以上妊娠し続ける女性」について相談するため友人京極堂を訪れるところから物語が始まる。



推理小説が好きな人なら今さらな感じですが、京極夏彦のデビュー作です。
物語の舞台となるのは久遠寺医院という病院で、雰囲気のある小説です。
あらすじに関しては最初の導入しか書いてませんが、推理小説ですし、この小説は物語全体で一つのミステリという性格が強いのでこのくらいにしとかないとネタばれしかねません。

この小説の魅力はまず第一に世界観でしょう。
時代が現代ではなく戦後間もない時期で混乱した時代です。そんな時代に京極堂の語る妖怪が不思議にマッチします。

次に個性的な登場人物がたくさん出てきて、それも魅力の一つだと思います。
関口巽…鬱気味な作家、頭は全く切れません。顔は猿に似ているらしい。
京極堂(中禅寺秋彦)…古本屋「京極堂」の主人。妖怪からアインシュタインまで様々な知識を持ち、詭弁を弄する。
榎木津礼二郎…旧華族で眉目秀麗の「薔薇十字探偵社」の探偵。躁の気がある。この小説の中でもっとも変な人。
木場修太郎…刑事をやっている。顔は四角で目は小さい。関口とは戦争中同じ部隊にいた。榎木津の幼馴染。

3つ目に京極堂の話が面白いです。
妖怪から物理学、心理学とジャンルを問わず彼の主張に納得させられます。


僕は3つ目の京極堂の論理に中学時代夢中になりました。
初めて読む人には漢字もやたらと面倒くさいし、本の分厚さからも敬遠されそうですが、読んで間違いなしの傑作です。

実は中学時代理解できないところがあってもう一度読み返しましたが、また夢中になってしまいました。その部分に関してはネタばれもあるのでread moreに書いておきます。
               評価    ★★★★★




映画化もされました。
僕は原作が面白かった映画はあえて見ませんが、賛否両論、イマイチという意見が少し強そうです。

「記憶の果て」浦賀和宏 1998/02文庫2001/08




高校の卒業式も終わり大学入学を1ヵ月後に控えた安藤直樹がある朝起きると父親が自殺していた。
父の遺書には具体的なことは一切書かれていなかった。

納得のいかない気持ちで何気なく父が書斎に残したコンピュータに電源を入れた直樹。


「あなたは誰」

ディスプレイにたったこれだけの文字が現れる。
不思議に思った彼が打ち込むと会話が成り立つ。

「安藤直樹」

「私は安藤裕子」「とうさんはどうなったの」

「死んだ」

「自殺したの」


脳の研究者だった父は何を作ったのか?安藤裕子とは誰なのか?なぜ父は死んだのか?

安藤裕子について彼が調べ始めた時これまで当たり前にあったはずの現実が崩壊する。



浦賀さんの小説の中で安藤直樹を主人公にしたシリーズの第1作です。
このシリーズはSF的な要素が強く、SFファンタジー推理小説といったほうが良いかもしれません。

しかし僕はSFは苦手なんですが、このくらいの科学技術ならそれほど違和感が無いかなって思えるのでSF嫌いの人にもおすすめします。
SFというより浦賀さんの世界という感じです。
鈴木光司さんの「ループ」のような世界観です。

主人公安藤直樹はピアノが得意な男の子で、暗い話の中、音楽についての部分はのんびり楽しめました。

あと、直樹の幼馴染が出てくるのですが、名前が「金田忠志」と「飯島鉄雄」なんです!
「AKIRA」ですね。
そう思って探していたら映画版AKIRAでもチラッと出てきた脇役の「山形」も登場しました。

あと金田の性格が「京極堂」のようで高校の頃初めてこの本を読んだ時は気に食わなかった覚えがあります。
今となっては先々のこととあわせて考えるのでこの性格でよかったんじゃないかと思います。

この小説はシリーズです。もし面白かったらぜひシリーズを読み進めてください。先に行けばいくほど浦賀ワールドは広がります。
                  評価    ★★★★☆




AKIRAです。本編には全く関係が無いですが、僕は好きです。
AKIRA DTS sound edition






「オーケストラの職人たち」岩城宏之 2002/02 文庫2005/02



NHK交響楽団終身正指揮者でもありメルボルン交響楽団終身桂冠指揮者でもあられる著者によるオーケストラの舞台裏で働く職人を取材したエッセーです。

ピアノやハープの搬送から、オーケストラに同行する医者の話、写譜の印刷所、調律師などを電話で取材したり、調べてもらったり、自ら1日アルバイトをして臨場感たっぷりに仕事内容や、職人の素顔を読ませてくれます。

業界の人でないと分からない裏方の苦労や面白さを教えてくれる本だと思います。

この本を読んで久しぶりにクラッシックのコンサートに行きたくなりました。
オーケストラ以外に注目してしまいそうですが…。
                 評価    ★★★★☆

「オーケストラ楽器別人間学」茂木大輔 1996/4/1 文庫2002/08



NHK交響楽団オーボエ首席奏者による音楽エッセーです。

著者によるとオーケストラで楽器を弾く人には楽器ごとに共通点があるそうです。
トロンボーンを吹く人は瀬戸内海出身で父親は漁師、ハープ奏者の父親は外交官てな具合で。いささか無茶な推理をしているような気もしますが、この独断と偏見?による人間判断は興味深いです。1度検証して確認してもらいたいものです。

また、その性格判断から逆に有名人がもしオケに入ったらどんな楽器を持つかという推理も面白いです。(ただし、出版されたのが1996年なので出てくる有名人がちょっと古いです。)


それ以外にも楽器別デートマニュアル、あなたにはどんな楽器が合っているのかをYES・NOによるチェックできたり、それぞれの楽器の特性なんかも書いてあって、音楽に興味がある人なら読んでみたら今後の人間関係作りに役立つのではないでしょうか(笑)?

のだめカンタービレ (1)」の作者も推薦する、読書版「のだめ」といったエッセーです。
                   評価    ★★★☆☆



「ギャラリーフェイク」細野不二彦



贋作から真作まであらゆるものを扱うアートギャラリー「ギャラリーフェイク」のオーナー藤田玲司が主人公の美術漫画。

藤田は単なる金に汚い男というわけではなく、芸術に心酔し、命をかける男です。
世界を舞台に様々な芸術品や人と出会いドラマが生まれます。


モナリザやゴッホから、日本の浮世絵や和紙まで様々な芸術品が出てきますので、少しでも興味のある人なら楽しく読めると思います。

また、「ギャラリーフェイク」だけあって贋作を扱うことも多いですが、藤田が天邪鬼だが良い人なので後味も爽やかです。

この漫画を読めば、美術館に行ってみたくなること間違いなしです。




文庫版の1巻です。僕はこちらで集めています。


1巻の画像がないので画像のあるものを何冊か載せておきます。





アニメ化もされ、ウェブドラマにもなっているようです。


「狐罠」北森鴻 1997/05 文庫2000/05




店を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りにブローカーのような仕事から個人の客の相手まで行う旗師の宇佐見陶子が主人公の骨董ミステリ。

陶子は銀座に店を構える橘董堂から贋作をつかまされる。
鋭い鑑定眼を持つ彼女が騙されたのは、橘董堂の巧妙な目利き殺しが原因だった。
汚い仕事をする橘董堂を相手に自分も闇の世界に堕ちる覚悟で彼女は意趣返しを画策する。

そんな中1人の女性の死体が見つかる。

陶子は殺人事件に巻き込まれながら、橘董堂への目利き殺しを成功させることが出来るのだろうか?


薦められて読んでみましたが、文体は結構重厚な感じで、最近軽いタッチの小説ばかり読んできた僕は久しぶりにじっくり読ませてもらいました。

読者が推理するというのはこの小説の中ではほとんどありません。
だからどちらかというとサスペンス色が濃いようにも感じますが、骨董業界の怪しさ、業界人のいやらしさや骨董品の魅力が骨董とは縁のない僕にも理解でき、物語にぐいぐい引き込まれていきました。

あらすじにも書いたとおり、骨董業界に生きる女性を主人公に、贋作を扱うというミステリにしては珍しいジャンルが新鮮で、この小説の魅力だと思います。

また、これまでの日本の芸術のあり方や、そこから橘董堂のやろうとしていることまで考えさせられる部分も大いにあると思います。



漫画だと「ギャラリーフェイク」なんかが好きな人は特に違和感なく入っていけると思います。

                  評価    ★★★★☆
「クリムゾンの迷宮」貴志祐介 1999/04


アメリカで前にこんなドラマ?が流行ってましたよね。
無人島で何人かの男女が生活する、毎週一人ずつ投票で脱落していく、最後に残った人に賞金。みたいな番組だったと思うのですが…。
この小説は投票ではなく生きるか死ぬかです。



目覚めるとそこは真っ赤な世界だった。
なぜ自分がここにいるのか、何をすればいいのか分からないまま藤木は歩き出す。
やがて、数人の自分と同じ境遇の人と出会い、そこでこのゲームの趣旨が発表される。
そのゲームとは、ゼロサムゲーム。
一人だけ生き残ることができ、生き残るためには他の人を殺さなければならない。
生き残った人には賞金が手に入るというものである。

それぞれの思惑が錯綜する中ゲームがスタートする。




これまた最高のホラー小説です。
黒い家」が不気味な人間の狂気を描いたものだとすれば、こちらは人間でなくなっていく恐怖という感じでしょうか?

登場人物の名前は明かしませんが、一線を越えた人間、彼らが近づいてくる焦燥感と恐怖はリアルに想像できちゃいます。



内容からは「バトル・ロワイアル」が有名で連想されますが、僕はこっちの方が断然面白いです。

多少無理のある設定ですが、そんなのお構いなしにのめりこむこと必至です。

作中に出てくる、昔あったRPGの本は懐かしいです。
そして最初に手にするゲーム機のキャラクターがいい味出してます。

僕は前半の楽しいサバイバル生活や徐々に不安になっていく姿も後半の手に汗握る展開も面白く、一気に読んでしまいました。

ラストは賛否が分かれているようですが、僕は切なくて良かったと思います。

貴志祐介さんの作品はどれも面白いです。これもぜひおすすめしたい本です。
              評価    ★★★★★


コレクターズアイテム版も発売されています。



「六番目の小夜子」1992/07 文庫2001/01




この小説の舞台となるのはとある高校。
その高校では生徒の間で過去十数年間続いてきたゲームがあった。

それは3年に1度サヨコと呼ばれる生徒が秘密に選ばれ、無事に文化祭を終えたらその年は生徒たちに幸運が舞い降りる、というものである。

だが今年は少しおかしい。
というのも転校生「津村沙世子」、小夜子と同じ名の生徒が現れたからだ。

学年首位の秀才関根秋は彼女の謎を解こうとするが…。



この小説はファンタジーの要素もホラーの要素も持っていますが、おそらくは青春ものだと思います。

恩田陸さんの描く高校生は、その短く輝かしい、でも不安や自信をもっている、誰もが共感できるものです。
実際この小説の中に出てくる様々な登場人物はみんな高校時代に一人はいそうな性格だから読者は惹きこまれていくと思います。

後、曖昧な文章で終わっていますので僕なりの解説をread moreに書いておきます。
ネタばれになるので本書を読む前は読まないでください。
                    評価    ★★★★☆
「むかし僕が死んだ家」東野圭吾 1994/05 文庫1997/05





7年前に別れた恋人沙也加から連絡が入る。
彼女は結婚して娘もいるが、昔の記憶に空白の部分があるという悩みを解決するため、「私」にある家へ同行してくれるよう頼む。

その家は洋風の白い家だった。
何年も空き家だったような家を捜索するうちに様々な謎が浮き出てくる。
いったいこの家の中で過去に何が起こったのか?



この小説は多分映画化とかされていませんし、あまり話題にならなかったような気がしますがすごく面白いです。

まず洋館が舞台で、その中には様々な謎が出てくるのですが、洋館に入るのに地下室を通ったり、電気が通っていないことなどから全体的に闇の中で懐中電灯を頼りにすすむ姿が不気味さをあおります。

また謎を「私」と沙也加が推理していくのですがその謎の一つ一つがとても魅力的です。
例えば、メアリー・セレスト号(注1)のようについさっきまで人が住んでいたかのように子供の宿題が勉強机に残っていたりします。




この小説の中では謎が出し惜しみされることなくどんどん出てきてどんどん解かれていきます。
だから、推理小説の魅力である謎解きの快感を存分に味わうことが出来ました。




また、推理以外にも沙也加の精神的な苦しみと成長にも注目して読むとさらに話に奥行きが出ると思います。


注1…1872年にバミューダ海域で起こった怪事件。メアリー・セレスト号の中から乗組員が消失してしまったのである。しかも、キッチンには食事の支度がされていたりとまるで1分前まで誰かがいたかのような状態だった。ちなみにバミューダ海域ではその他にも多くの消失事件が起こっている。

                評価    ★★★★★




「同級生」東野圭吾 1993/02 文庫1996/08



ミステリーのあらすじを書くのはなかなか難しいことを痛感する毎日です。

具体的に書けば書くほどこれから読む人の楽しみを奪うわけですし、かといって抽象的に書くと面白さが伝わらないような気がします。

仕方ないので設定だけを書いて、あとは抽象的に書くしかないのですけれど…。



ではこの本のあらすじを少しだけ書いておきます。

主人公(俺)は高校3年生で野球部キャプテンの西原荘一。

ある日同級生の宮前由紀子がトラックに轢かれて死んだ。
彼女は俺の子供を妊娠していた。


俺は彼女のために、そして俺のために何が出来るのか。


事件は高校生同士のネットワークで徐々に真相が明らかになる。
俺は宮前の死における中心人物なので情報が集まってくる。

そんな時に1人の女教師が事件に関わっていることが突き止められ、学校中で大きな問題に発展するが、彼女が絞殺死体で見つかったことで一転して、俺は容疑者になってしまう。



この小説は一応上記のようなあらすじなのですが、どちらかというと、高校生で同級生を妊娠させてしまった主人公の気持ちの揺れを意識して読んでしまうと思います。

登場人物には他にも両親、心臓に疾患を持つ妹、同級生の野球部マネージャー、宮前に片想いしていた野球部のエース、過去に主人公とつながりのあった同級生の女の子などがおり、彼らとの日常生活も面白いと思います。

読者に挑戦状を出すタイプの犯人を読者に考えさせる推理小説ではありませんので読みやすい学園推理小説です。


しかし実は僕はちょっと東野圭吾にしては失敗したかなって思いました。

心臓に疾患を持つ妹とその原因になった汚染物質を出していた企業や本気で好きだったのかも分からないまま妊娠させてしまった主人公にもっと焦点を当てても良かったんじゃないかと思います。
恋愛小説や青春小説にいくらでもできそうなのになぜ、この作品を推理小説にしたのか…。

東野圭吾さんならもっと面白く出来たんじゃないかと思うのです。
                 評価    ★★★☆☆



「マドンナ古文単語230―荻野文子の超基礎国語塾」



こちらは古文単語の参考書です。

古文は難しいと受験生が言ってるのをよく聞きますよね。

しかし、例えば英語だと中学でおよそ1000単語くらい覚えているのに対して、古文単語はほんの少ししか覚えていない人がほとんどです


古文といっても日本語だから何とかなるというのは甘いです。

もし同じ言葉でも現代語と意味が異なるならそれはもはや外国語です
外国語を学ぶのに単語を学ばない人はいません。

それなら、古文単語もある程度は覚えましょう。
問題文に出てくる単語がある程度分かれば文法に少々自信がなくても話を理解することは出来るでしょう。


で、参考書の中でも最も良いと僕が思うのはこのマドンナ古文単語です。
230個しかないですし、覚え方がキャッチフレーズやコミカルなイラストで表現されていて覚えやすいです。

600語とかの単語参考書もありますが、僕はこの230語で十分だと思います。

これを100パーセント覚えたら次の単語帳や文法のステップに進みましょう。
投げ出さずに頑張れば現代文と違って古典は必ず得点科目になりますよ。


「Duo 3.0」



大学受験をする受験生の皆さんのための英単語参考書の種類はそれこそ限りなくあります。

その中で今のところ一番だと僕が思うのはこのDuo 3.0です。

単語数は1600、熟語数は1000でターゲットなどとそんなに変わりません。
むしろ多すぎるくらいです。センター試験なら単語数は1200で十分です。
実はTOEIC用にも使えます。


ではなぜ僕がこの本を推すかというと、例文の存在です。

この参考書の中には1つずつ単語があるわけではありません。
文章があり、その中の単語が解説されているのです。
だから覚える時には文章に関連付けて覚えていくのです。


それも長々としたものでなく、1文です。
面白い例文も多く、文法的にも忘れてはいけないものが使われており、きちんと解説も1文1文についています。

したがって単語・熟語に加えて文法まで同時に覚えることが出来るのです。

さらに、文章で覚えるのは単語だけで覚えるよりも、覚えやすく、忘れにくいというメリットがあります。


僕はこれで文章ごと覚えて受験に合格しました。ぜひ一度手にとって見てください。



ちなみにCDも発売されており、リスニングが苦手という人にはこちらもおすすめです。


こちらは、電車の中などで使うと良いと思います。


ただ、個人的にはCDではなく単語参考書を買うことをおすすめします。
友達と問題の出しあいなどしてテストすると効果は絶大です。

「プラダを着た悪魔」2006年





ジャーナリストを目指してN.Yにやってきたアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)だが、見つけた仕事は、女の子なら誰でも憧れるファッション雑誌「ランウェイ」の編集部だった。

アンディ(アンドレアのニックネーム)の仕事は編集部には仕事は出来るが、皆が恐れる伝説的な女性ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタントだったが、ミランダの命令は無理難題ばかり。

しかもアンディはファッションには全く興味の無い女の子。
そんな彼女を業界の人たちは馬鹿にする。

アンディはジャーナリストになる足がかりを得るために頑張り始めるのだが、徐々にファッション業界の面白さにハマっていき…。

仕事が面白くなるにつれて友達や恋人と溝が出来ていきます。




この映画は単にアン・ハサウェイのカワイイ姿を見る映画ではありません。


もちろんどんどん洗練されて魅力的になっていく彼女の姿を見ているのも十分面白いですが、
彼女のサクセスストーリーと、アンディやミランダが成功するために失うものを描いた青春映画だと僕は思います。

女性だけでなく男性が見ても面白いと思いますよ。




小説版も出ていました。
プラダを着た悪魔〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
プラダを着た悪魔〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

公式ページはこちらです。
「数学者の言葉では」藤原正彦  1981/05 文庫1984/01



数学者藤原正彦先生による面白エッセーです。

カテゴリを数学に入れるか迷いましたが、数学について専門的なことは書かれておらず、エッセー色が強いのでこちらにしました。

藤原先生はアメリカのコロラド大学などでも教鞭をとった人で、「若き数学者のアメリカ (新潮文庫)」に続きこの本でもアメリカ人と日本人の比較やアメリカの学生についての多く挙げられています。

特に大学生や大学院生については、昔から「日本の大学生は勉強しないがアメリカの大学生はすごく勉強する」など言われていますが、実際にアメリカで教えた先生の言葉には真実があると思います。

また、子供のしつけについて、結婚式、新婚旅行、結婚生活、などの日常が先生の一種独特な感性で正直に(多分)語られ、笑えます。

世間一般ではほぼ謎に包まれている数学者がいったい普段何をして、何を考えているのかが分かる興味深い本です。
                      評価    ★★★☆☆


「売り上げを倍増させたアフィリエイト最新実践テクニック -OL・主婦もしっかり稼げるやさしいサイトの作り方」矢野きくの 2006/8/9



著者は女性の人気サイト・ブログ制作者でアフィリエイトで儲けておられる方です。
この本の中で著者の実体験を絡めて人気サイトにするコツを教えてくれます。



ブログやホームページを運営する上でアフィリエイトは楽しみの一つと言えるでしょう。
しかし、せっかく始めたのにいつまでたっても売れないと寂しいものです。

この本は、なかなかアクセス数も増えず、でもどうしたらよいのか分からない。SEO対策ってよく聞くけど何なの?という人におすすめです。



本の内容すべてがブログに対応したものではありませんが、アクセス数を増やす方法から、見やすい記事の書き方、テンプレートの選び方、アフィリエイトで成功するための考え方など「なるほど」と思うことがたくさん書いてありました。

単にアフィリエイトでお金を儲けたいという人よりも、みんなに自分のブログを見てもらいたいと思う人に向いた本だといえます。

特に最後に載っている人気ブログの制作者へのインタビューはエッセーのようで面白かったです。
                      評価    ★★★☆☆
「猛禽の宴―続・Cの福音」楡周平 1997/11文庫2005/7/25




バカンスを楽しむ朝倉恭介に緊急の連絡が入る。

「ファルージオが撃たれた。」

恭介は恩人でもあり、父親のような存在でもあるファルージオのため、組織を乗っ取ろうとするコジマを狩ることを決意する。





前作「Cの福音」では日本を舞台に、コカインの輸入や抗争を描いたものでしたが、今回はニューヨークを舞台に激しい戦いが起こります。

前作以上に疾走感あふれるストーリー展開、戦いの緊張感、そして朝倉恭介のカッコよさが溢れています。(朝倉恭介のカッコよさは前作のレビューに書きましたので、そちらで確認してください。)

前作が日本映画のような緻密なサスペンスだとすればこれはハリウッド映画のようなゴージャスでエンターテイメント性の高いアクションものだと思います。

とはいえ、作りがアバウトって言うわけではありません。
細かい設定や情報については楡さんの作品らしく凝った内容になっています。


人によってどちらが好きかは分かれそうですが、朝倉恭介に惚れた人なら間違いないですし、マフィアやハードボイルドが好きな人なら読んで損はありません。
僕はハードボイルドが好きですが、このシリーズはツボにはまりました。

悪のヒーローの活躍に心が躍ります。

                       評価    ★★★★☆


ハードカバーはこちらです。
「無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法」勝間和代  2007/10/12



著者は19才で公認会計士二次試験に史上最年少合格、その後マッキンゼーやJPモルガンなどの外資系企業で働き、中小企業診断士をはじめMBAなどの資格を取得し、働く母親向けのインターネットコミュニティ「ムギ畑」の立ち上げるなど幅広く多くの仕事をされている女性です。

ビジネス書は何冊か読んでいますが、働く母親の書いた本ということで僕は購入してみました。

多くのビジネス書は企業で働く男性向けで自営業をしている僕には参考になっても直接使えることは少ないのですが、働く母親であれば、家事や子供の世話など避けられない時間があります。

そういった時間の有効な使い方などをこの本に求めました。



読んでみると様々なことが書かれていますが、主な内容は、時間を作ること、作った時間を投資することが挙げられると思います。



確かに生活するうえで、僕も多くの不必要な時間がありそうです。
例えば無駄に見てしまうテレビや漫画を読む時間、人から頼まれたお金にも自分のためにもならない仕事。

特に僕が注目したいのは人から頼まれる仕事を出来るだけ断るということです。
僕でなくても出来る仕事(自分のスキルアップや後々役に立つ仕事は別)は時給換算してそれに見合ったものかどうか考えるという著者の考え方は学ぶべきだと思いました。

そしてあまった時間を未来に投資する(資格取得など)というのも当たり前のような気がしますが、言われてみないとなかなか実行に移せません。

この本はサラリーマン以外の人にも役立つ目から鱗のビジネス書だと思います。

                  評価    ★★★★☆

「青の炎」貴志祐介 1999/10  2002/10




「こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために―。氷のように冷たい殺意を抱いて。」

帯のこの文句に惹かれてこの本を手に取ったのは奇しくも僕が高校生のときでした。


櫛森秀一は母と妹の3人暮らし。
成績も悪くなく、妹にも優しくて母思いの高校生である。
祖父母の代から住んでいる家は古いが、しっかり作られていて温かみのある家だった。

しかし、そんな平和な生活が母と離婚した父親、曾根隆司によって崩されていく。
曾根はギャンブルに狂うアル中で暴力を振るう最悪の男。

秀一は大切な家族を守るため父親を殺すことを決意する。





高校時代に夢中になって読んだ本でしたが、今読んでも全く色あせていませんでした。

曾根はこんなに悪い男がいるのかっていうくらい悪くて嫌な奴ですし、秀一の家族を思う心に打たれました。
そして何より、高校生らしい感情や行動に切なさが増します。


この小説は初めて読んだ時からまるで映像のように秀一の姿がイメージできました。
今読み返してみると、僕らの生活する世界を細かく描写することで、イメージが浮かびやすく、また、感情移入しやすくなっているように思います。(特に高校生は頷くところが多いのではないでしょうか?今読むと高校時代を思い出しました。)
その上ですっきりした読みやすい文章になっているのは貴志祐介さんの技術なのでしょう。

読み終えた後もしばらく秀一がロードレーサーに乗って海沿いの国道を走る姿が脳裏に浮かびます。
                   評価    ★★★★★




映画化もされていました。
二宮和也が主演で秀一役です。他にも松浦亜弥、鈴木杏、秋吉久美子、山本寛斎などが出演しています。

二宮君は個人的にこういう役にぴったりだと思いますので、僕も見てみようかと思います。


DMMの月額ブロードバンド。バンダイチャンネルの豊富なアニメーションを2Mbpsの高画質で配信!!
「失はれる物語 」乙一 2003/12 文庫2006/06



6篇からなる乙一さんの短編集です。



Calling You…友人のいない寂しい私は、頭の中でふと携帯電話をイメージしてみる。そのイメージはどんどんリアルになり、ある日頭の中の電話が鳴る。出てみると男の子の声がして…。不思議な話ですが、なんとなく切なくなります。

失われる物語…トラックとの事故で私は腕の感覚と指を少しだけ動かせるだけのほぼ植物人間の状態になってしまう。妻が私の腕をピアノの鍵盤に見立て弾いてくれる。それだけが外界との接触となる。これも男と妻の苦悩が絵のように浮かんできます。

傷…他人の傷を自分に移すことの出来る少年アサト。彼は傷ついた人のために自分が傷ついていく。傷だらけの少年の美しさに心が震えます。

手を握る泥棒の物語…宝石を盗むために壁に穴を開けて隣の部屋に手を突っ込んだ「俺」。しかし手を入れた先には女の子がいて、思わず手首を握った「俺」は泥棒に失敗したのだったが…。

しあわせは子猫のかたち…伯父の持つ古い貸家で一人暮らしすることになった「ぼく」の前に幽霊の雪村と子猫が現れる。「ぼく」と幽霊と子猫の奇妙な同居生活が始まった。

マリアの指…「僕」の大好きだったマリアが自殺した。そして白い猫が彼女の指をもたらす。僕は彼女の指を瓶詰めにして保存することを思いつく。





この作品はどれも美しい物語です。

乙一さんの小説はGOTHを含め、グロイ印象だったのですが、これは乙一さんの新しい一面を見せてくれました。

特に表題になっている「失われる物語」は腕の感触だけしかない真っ暗な世界に生きる男を上手く使った新鮮な話でした。

また僕は「手を握る泥棒の物語」もテレビドラマのようで面白かったです。
乙一さんの作品をあまり読んだことのない人に是非読んでもらいたいと思います。
                     評価    ★★★☆☆


ハードカバーはこちら。


また最近知ったのですが、この短編集の中の「傷」が『KIDS』というタイトルで映画化されるようですね。
主演は小池徹平さんと玉木宏さんです。話題になりそうです。
「サルサ!」フランス・スペイン合作 1999年 DVD発売2004/07/14



若き天才クラシックピアニスト、レミ。彼はクラッシックのピアニストとして将来が期待されているにもかかわらずサルサのリズムに魅了されています。

映画の冒頭でショパンの「革命」を弾いている途中で突然演奏を止めてサルサを弾きはじめるのがなかなか爽快です。(ちなみに僕はクラッシックも好きです。)

ところが、レミの肌はバニラ色。誰も相手にしてくれません。

そこで、日焼けサロンで肌の色を変えて名前もモンゴと名乗ります。

さらに伝説のキューバ人作曲家ベレートの好意で、閉鎖寸前のキューバ・バーを使わせてもらいサルサのダンスレッスンを始めます。

そしてレッスンに現れた地味な女性ナタリーとモンゴは恋に落ちます。
しかし、ナタリーはモンゴが本当は白人で名前も「レミ」だとは思っていないので騙す形になってしまいます。

レミのサルサへの想いは実を結ぶのか?
ナタリーとの恋はどうなってしまうのか?


「最高にホットな映画」という謳い文句をそのままに最高にハッピーな気分になれます!

音楽が好きな人、ダンスが好きな人はもちろん、興味の無い人もサルサ音楽やサルサのダンスのレッスンに通いたくなること間違いなしの映画です。



サントラも僕は買っちゃいました。


公式H.P.っぽいのがありました。
http://www.kinetique.co.jp/salsa/#


DMMの月額ブロードバンド。バンダイチャンネルの豊富なアニメーションを2Mbpsの高画質で配信!!

「天国への階段」白川道 2001/02 文庫2003/04




家業の牧場を騙し取られ、非業の死を遂げた父、さらに恋人も失った柏木圭一は十九歳の夏たった一人で北海道から上京する。

東京でがむしゃらに働き、26年後彼は貸しビル業からゲーム開発の会社の代表まで務める政財界注目の若き実業家に成り上がった。

彼の望みは自分からすべてを奪った男、江成への復讐。

しかし着々と復讐への準備が整う中、柏木にもかつて犯した罪に司直の手が及ぼうとしていた。






この物語は悲しすぎです。
柏木もかつての恋人亜木子も幸せになれる要素がさっぱりありません。


読んでる間中レッドツェッペリンの「天国への階段」の切ないメロディーが僕の頭の中でリフレインしてました。


一番のポイントは後半です。
僕は堕ちていく予感に、怖くて読むのを止めようかとすら思いました。

後半を通して、過去の罪に追われ、逃げ切れないと悟ることの絶望が心を打ちます。
特に柏木の腹心、児玉の言葉は涙で読めませんでした。




いろいろな人の評価を読ませてもらっていると、結構酷評もありました。
命が軽く扱われている、ラストがちょっと、登場人物の出自が…っていうのは確かに僕も思いますが、柏木の絶望や堕ちていく所に僕は感動したのでこの本はおすすめです。
                   評価    ★★★★★


天国への階段〈中〉 (幻冬舎文庫)
天国への階段〈下〉 (幻冬舎文庫)

ハードカバーはこちら。
天国への階段〈上〉
天国への階段〈下〉
「ゲームの名は誘拐」東野圭吾 2002/11/19 文庫2005/6/14




主人公佐久間はやり手の広告プランナーでオンナにも金にも不自由しない男。

しかし、自信のあった彼のプランが日星自動車の副社長葛城によって潰されてしまう。
プライドを傷つけられた彼は酔った勢いで葛城の家に足を向ける。

特に理由があったわけではなかった。
しかし、その時、偶然葛城の娘樹里の家出の現場に遭遇する。

そして彼女との出会いが、佐久間にゲームの開始を告げる。

ゲームの名前は「狂言誘拐」。


佐久間と葛城の双方がゲームの達人を称するが、この誘拐というゲームに勝つのは一体どちらか?




この話は、東野圭吾さんによると「良い人の出てこない物語を作りたかった」そうで、たしかにこの物語の登場人物にまともな正義感を持った人は出てきません。

利己的でプライドの塊である佐久間と葛城、わがままで自分勝手な樹里。

しかし、そんなキャラクターだからこそ面白いのかもしれません。
                 評価    ★★★☆☆


ハードカバーはこちら。
ゲームの名は誘拐




この小説は映画化もされています。
そしてこの映画はなかなか面白いです。

僕にとって映画を見て、原作より面白いと感じたのは珍しいことです。

映画版は「g@me」というタイトルで、佐久間役を藤木直人さんが、樹里役を仲間由紀恵さんがされており、ビジュアルはもとより、演技の面でも良い作品だと思います。

また原作のテンポのよさをこちらも失わず、中だるみすることがありません。
全体的に映像もスタイリッシュな印象でした。
そして誘拐のトリックも映像で見られる分、理解しやすいように思います。


実は原作とラストが違っているので原作を読んだ人でも最後まで楽しめると思います。