200806

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「再生巨流」楡周平  2005/4/21文庫2007/11




主人公吉野は一流企業の物流部からヘッドハントでスバル運輸に来て、30年間がむしゃらに働いてきた。彼はピラニアと陰口されるほど部下に厳しく、それも部下を道具としてしか扱わないことで実績を残してきた。

そんな彼に会社が下した決断は無理難題を押し付けリストラすることだった。
『新規事業開発部部長』これが彼の新しい役職である。彼に課されたノルマは1年間で4億の商売を生み出すこと。部下はリストラ寸前の男一人と事務員一人。

組織から切られた彼に残された道は退職か、成功か。

再生していく企業、人間の物語。


楡周平の小説は浅倉恭介のシリーズが好きでそれ以外は、全く興味を示していなかったのですが、最近青春・推理小説以外にも興味が湧いてきて手にとってみました。

他人を省みずに自分の熱意だけで夢を追う吉野はある意味で有能な男ですが彼に欠けているのは部下を管理し育てる能力です。

上司から捨てられ、社内に味方もいない絶望的な状況の中で吉野はまずは自分の能力でプロジェクトの青写真を描きます。

しかし、彼のプロジェクトの成功は周りの人間の手助け無しには成功しません。それに気がつくことで彼は成長します。
いくつになっても人は学び、成長できるというのが魅力の一つです。

そして彼のプロジェクトは会社だけを儲けさせるものではなく、社会全体を活性化するもので、会社という組織も同時に新しい展開をとげます。
これからの企業のあり方の一つを示しているのではないかと思います。




絶望の中から這い上がっていくサクセスストーリーに浅倉恭介のシリーズとは違った感動があります。楡作品が好きな人はぜひこの新境地を確認してください。

ビジネス小説の最高峰と言えると思います。 
             評価    ★★★★★


「心は孤独な数学者」 藤原正彦1997/10文庫2000/12

皆さん、ニュートンはご存知ですか?
そう!万有引力の法則を発見した彼です。

では、ニュートンは万有引力を発見しましたが、なぜ、彼の上にりんごが落ちてきたか?

ご存知の方は少ないのではないでしょうか?

例えば、キュリー夫人、ヘレン=ケラー、ライト兄弟は伝記も出ていますが、ニュートンの伝記を読んだ人は?



この本の中で著者はニュートンの足跡を実際、イギリスを訪れ、彼の一生を追いかけます。
数学者である著者の暖かい目線で語られる人生には目頭が熱くなることも多々あります。


その他にアイルランドの数学者ハミルトンとインドの神がかり的に定理を発見し続けた早世の天才ラマヌジャンについても同様に、内面を浮かび上がらせながら人生を語ります。


音楽家や、発明家、政治家の伝記はよく目にしますが、数学者の伝記はなかなかないのではないでしょうか?

超一流の人間の一生というのは読んでいて心が焚きつけられるので僕は大好きです。